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INTERVIEW

DEMIAN CELICA KANOU / ODRADEK



ODRADEK(オドラデック)というブランド名は、フランツ・カフカの作中に登場する、定まった解釈のない不思議な生き物の名前から付けられたそうだ。彼女自身の作品も、服でもアクセサリーでもあり、男性的でも女性的でもあり、受け手にその解釈を委ねているようにも感じられる。2010SSの東京ファッションウィークで東京デビューを飾り、現在転換期を迎えるODRADEK、そしてデザイナーである狩野デミアンせりか氏のパーソナリティに迫った。





ーまずブランドコンセプトを教えて下さい。

コンセプトは「プロテクション」です。
プロテクション(防御)といっても物理的なものではなく、精神的なプロテクションです。特に、“個”や“アイデンティティ”のプロテクションを中心に置いています。

 

ー「アイデンティティのプロテクション」とは具体的にはどういったことでしょう。

その人がその人らしく生きるということをアクセサリーやお洋服を通してお手伝いする、ということでしょうか。ですから、その人の精神的なよりどころになるものや、身に付けることで自分を定義でき、自分であることに自信を持ってもらえるようなものをつくっていきたいと思っています。弱さや恥ずかしい部分は隠すと弱点になりますが、表に出すことにより強さに変えられる、ということかもしれません。

 

ー精神的なものを制作のテーマにするというのはよく耳にしますが、直接的に精神的な何かではなく、その「プロテクション」をコンセプトにされているのはなぜでしょう。それは興味関心からなのか、もしくはご自身の過去になにかしらの要因があるのでしょうか。

学生時代は心理学を専攻したかった時期もあり、人の内面にはもともと、とても興味がありました。ですが、「プロテクション」をコンセプトにしているのは、必ずしもただ興味関心があったからというわけではなく、私の過去の経験も少なからず影響していると思います。

 

ーそれを教えていただくことはできますでしょうか。

多くの方と同様、私も学生時代は難しい青春を過ごすなかで、精神的な支えにしていたものに音楽がありました。もともと音楽は好きなのですが、特に90年代のイギリスのオルタネイティブロックがとても好きでした。
決してマジョリティとは言えない彼らは、服やメイクなど、ファッションによってアイデンティティを表現することで、自分たちの存在を定義し、それに守られていたようにも思います。しかし、そんな彼らの音楽や言動は人や社会に大きな影響を与え、必ずしも迫害されるマイノリティとは言えない存在になっていきます。
そういったことに感銘を受けたことが、私のクリエーションにも影響しているのかもしれません。ですから現在もネガティブにとらえられるマイノリティをポジティブな意味へ変えられる活動をされている方々を大変尊敬します

2012 Spring & Summer

 

ーありがとうございます。ご自身の制作活動のインスピレーションも音楽からくるのでしょうか。もしくは、コンセプトと同じく精神的なものや内面的なものなのか、それとも他になにかあるのでしょうか。

音楽の歌詞であったり音楽に影響をうけることもありますが、心理や感情などにインスピレーションを得ることが多いです。

 

ー心理や感情などの抽象的なものをアクセサリーや服という形にするというのは、私には非常に難しい作業だと感じられるのですが、具体的にはどういった作業をされるのでしょう。

多くは自分の内面と向き合うところからはじまります。特にテーマなどは設定せず、その時に感じていることや自分の欲求と向き合います。溜まっている鬱憤や積もっているものを外に出すイメージです。それを軸にアイディアを膨らませ、共通点のあるアートや色、形などをリサーチし、徐々に形に落としこんでいきます。

 

ーなぜファッションという表現方法を選ばれたのでしょうか。お話を伺っていると絵画や彫刻などのいわゆるファインアート(美術)的な方法のほうが、形にとらわれずに感情や心理を表現できると思うのですが。もともとファッションに興味があったのでしょうか。

先程心理学を専攻したかったと言ったように、ファッションにはまるで興味がありませんでした。アートのコースもとっていましたが、心理学でもアートでもなくファッションを選んだきっかけをしいてあげるとすれば、やはり音楽やバンドの影響かもしれません。

 

ーなるほど。東京でのファーストコレクションもパンクやロックの影響を感じさせるものでしたね。

 

そうですね。
ODRADEK 2010 Spring & Summer Collection

 

ーご自身が女性でありながらメンズをデザインされているというのも、90年代のバンドの影響が強いのでしょうか。

そういわれるとそういった影響もあるのかもしれませんが、初めからウィメンズにはあまり興味がありませんでした。
というのも、思春期にカフカやキルケゴール、ニーチェなど男性の視点からの文学や考察をたくさん読み、共感することが多く、当時読んだ女性作家の文学は、時代のせいかフェミニズム色が濃く、女性はひたすら強いというイメージがありました。
また、いわゆる男性に「見染められるためのドレス」という女性服よりも、自分の「エゴのための服」という男性服のアイディアが好きだったというのもあります。メンズであれば、女性の方でも着ることのできるものが作れるということもありますね。
なにより多様で複雑なアイデンティティを持ち、ユニセックスな人にインスピレーションを感じますので、メンズをベースにユニセックスなコレクションを制作しています。
(左から)2011 Spring & Summer, 2011-12Autumn & Winter, 2010 Spring & Summer
メンズでありながら花やリボンなど女性的なモチーフが多く使われ、どこか中性的なイメージのコレクション。

 

ー女性は強いというのは男としてもよくわかります。しかし、「女性」でも「男性」でもなく「中性」「中間」にインスピレーションを感じるというのはなぜでしょう。

不安定さを持っているからだと思います。

 

ーでは「プロテクション」したい、つまりご自身の作品を身に着けてほしいのも、そういった中間的なイメージの方なのでしょうか。

いいえ。
「中間的な」というのはあくまでインスピレーションであり、こういう方につけてほしい、着てほしいということは考えていません。共感して頂ければ性別や年齢で枠をもうけたくはないので、どなたにでも使っていただきたいと思っています。
そもそも、ODRADEKはアクセサリーのコレクションからはじまりました。それは、アクセサリーであれば体系や性別を問わず多くの方が身に付けることができますし、なにより一点でも大きな“存在感”を放つことができるからです。

 

ー存在感も含め、「プロテクション」のためのアクセサリーですね。

そうですね。
ただアクセサリーに限らず、たとえ服という形であってもそれはアクセサリーの延長上としての服という捉え方をしています。
身にまとうアクセサリーとでもいいましょうか。考え方はどちらも同じです。


2012 Spring & Summer

 

ー「服」というと、これまでは東コレでコレクションを発表されるなど、お洋服が中心の活動だったと思います。しかし、活動の拠点を故郷である京都へ移されたり、コレクションを再びアクセサリー中心にされたりと、ブランドとしては現在、まさに転換期を迎えているのではないかと感じているのですが。

たしかに、ひとつの転換期かもしれません。

 

ーそれは環境やご自身の気持ちになにか変化があったのでしょうか。

もともとアクセサリーのオーダーメイドやテーラードをやりたいという気持ちがありました。「個人」や「アイデンティティ」と向きあった活動がしたいと思っていたからです。
もちろん、みなさんの前でコレクション発表するというのは勉強になる部分も多く、大事なことです。ただ、その分なかなか思うようにいかない部分もあります。お客様と少し距離があることもそうですし、小さいブランドですから、十分にサイズがそろえられるわけでもありません。そういったことから「個」に焦点をあて、モノを持つことの意味をより意識してもらえるようなこともしたいと思うようになりました。

 

ーINVITATIONSでは、まさにブランドと個人とをつなげる取り組みをしています。
プレタポルテ(既製服)からクチュール(オーダーメイド)のような作品へ活動の比重を移しつつある中で、理想的なお客様との関係はどういったものでしょう。

同じアイデアをシェアする関係です。
同じような想いを持っている方の意見を聞きたいですし、それがインスピレーションになることも多々あります。

 

ー「シェアする」とはどういったことでしょう。

デザイナーという職業には「人々を文化的な面でエデュケートする」という使命があると思っています。
偉そうに言っても、私がそれをまっとうできているわけではないのですが、楽しいものやおもしろいものを見つけるお手伝いが少しでもできればと思っています。ですから、ものを買ったり、身に付ける以上のアイデアやメッセージを伝えていきたいです。


2012 Spring & Summer

 

ー「人々を文化的な面でエデュケートする」、なるほど。では、ODRADEKから一番伝えたいメッセージはなんでしょうか。

「自分を大切にしてほしい」ということです。
これは、アイデンティティがどうこうという難しいことではなく、単純に電車の迫りくる線路に飛び込む人がいなくなればいいな、という想いです。
人生多々苦難があることは重々承知していますが、スーツや制服のまま飛び込むなんてよっぽどのことです。自分を楽しむ人生を送ってほしいと思います。そして、より個性が溢れる社会になればいいですね。

 

ー「アイデンティティ」にも通じる部分があると思いますが、狩野さんが考える「個性が溢れる社会」とはどういったものでしょう。

社会における個という意味で、その文化に根付いたある程度のマナーを守ることは大切なことですが、その中で自分の個性とのよい妥協点を探すことも大切だと思います。他人への尊重と自分の欲求とのバランスということでしょうか。そのさじ加減は個々人で変わってくるとは思いますが、自分への欲求の分だけ他人への尊重ができれば、個性的で秩序のある社会ができるのではないでしょうか。

 

ーやはりその人らしく、ということを一番に考えられているのですね。
では最後に、「個性が溢れる社会」に対してODRADEKとしてどう関わっていきたいかお聞かせください。

ファッションはコミュニケーションツールですし、他人がスペシャルであると同時に自分もスペシャルであると意識できるお手伝いができれば嬉しいと思います。
やはり心のこもったものには深みがでます。ですから、これまでより規模は少し小さくなっても、ひとつひとつの作品の完成度を高めていきたいです。そして、それが少しでもどなたかの楽しみになれば嬉しいです。

 

Interview:Obi yuta, Oki Yosuke / Text:Obi Yuta
Photo:2012Spring & Summer Hisashi Murayama © 2011 All Rights Reserved.


Plofile:狩野 Demian せりか
1980 年京都生まれ。14 歳の時、ニュージーランドに留学した後、渡英。イギリスのRavensbourne Collegeof Design and Communication にてファッション&テキスタイル科を卒業。在学中よりCamilla Staerk、Hussein Chalayan、Kenzo でインターン経験を積み、その後仏ライセンスブランドや英ブランドReem のメンズデザイナーを経て2008 年ODRADEK を立ち上げる。

ODRADEK

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